人間の皆さんへ

わたしのことを書きます。

わたしとテニミュ

いつかの君は、永遠だったんだ。


あまりにも眩しすぎる季節、きっとそれは一瞬であったから儚いのではなく、まぎれもなく君が君であるから、愛おしいと思えたんだ。


コートに反射する8月の太陽、自分が暮らしていない都市、蝉の声。歓声の中で佇む君も、永遠を見たのかい。それは僕の見た夢と同じ夢だろうか、あるいは、それを夢だとすら認識できなかったのだろうか。少なくとも彼は、今年の夏も、彼の夏を生き、彼のいた夏を君はまた生きるんだ。途方も無いことなんかじゃ無い、ありふれた日常の中の当たり前なんかじゃない、変化を望む彼も、彼の幸せを願う君も、ただ、「勝ちたい」と願った。それだけの夏だった。それ以外は何も望まなかった。それだけの夏だった。


停止することは必ずしも悪しきことではない、しかしながら諸行無常とは言ったもので、永遠なんてものはこの世界にはなく、それでも信じていたいものを求めるために人は生きる。君は君の生きる道を生きれたのかい、彼は彼の望む道を生きれたのかい、鼓膜を劈く喧騒は何色であったのだろうか、まばゆい太陽光の中で、君の横顔が、鈍く揺れて、あぁ、けして上手いとは言えない人生であった、けして笑って死ねる人生でもなかった、ただ、いつかの君が、この夏を振り返る時、そこに彼は果たして居るのだろうか。君にとってのこの夏は、君の人生にとってのこの夏は、君を形成する一部に、或いは要素になれているのだろうか。遠くの喧騒、晴れた青い空、君が2度と踏むことのないコート、彼が来年踏むはずのコート、少なくとも、僕はこの夏を、永遠と形容するだろう。この夏は消費なんかではない、この夏を生きたいつかの君は、永遠だったんだ。


僕は僕になれただろうか。

彼も君も、また、明日へ。


明日へ。